[事務連絡] ネイチャーインサイト株式会社を退職しました


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報告

これまで勤務していたネイチャーインサイト株式会社を本年最終営業日の2017年12月28日付けで退職いたしました. 3年以上の間, おせわになりました.

再就職先は既に決まっています. しかるべき時期がくれば公表します.

また, 転職を考えるに際して, SNSでお声がけ頂いた多くの企業の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます.

以上, エンジニアの間で流行っている退職エントリをやってみた. 前職の職務内容については委細を公表することはできない. 前職の話をすることはできないが, これだけだと寂しいので, 以下は私の就活体験を勝手に書き綴る. 読者にとって何らかの足しになるかは不明だが. そして残念ながら, おそらくこれが今年最後の更新になる. もっと別の内容を期待した方には申し訳ない.

2014卒就活の思い出

私は 2014年新卒として就職活動していた. 夏にいくらかインターンを受けていたが, 具体的に何をしたいかという目標が持てないでいた. 専門分野を活かす仕事がしたいが, 諸事情により進学ができないことは既に決まっていた. 修士で一旦学問を終える同級生の間ではだいたい, 金融機関・IT系・コンサルティングファームシンクタンクが人気だったので, 私も最初はそのへんをいくつか応募した. だがそうしたところで, 確固とした志望動機もないので, 書類段階でも祈られる場合もいくつかあった.

そんな中, 同じ研究室*1の先輩が, データサイエンスらしきことをやる職種で就職したという話を偶然耳にしたり, かの有名な Harvard Business Review の2012年10月号を図書室で偶然見つけた*2 りして, 私の望んでいる時代が来ている, と感じた. そういうわけで, 本格的に「データサイエンス」ができる企業を探して応募していた. 打って変わって, 私は希望にあふれていた.

しかし, 現実はそううまくは行かなかった. 口コミや, ネット上のニュース記事をググって, そういう仕事をやっていると取り上げられている有名企業*3から順に応募したが, 次々と一次面接後にお祈りをいただいた. さらに悪いことに, 私は当時大阪にいたが, そういった企業の多くは東京に所在し, 説明会や採用選考も都内でしかやらないところが大半だった. 交通費を支給してくれるところもほとんどなく, 出費を抑えるためになるべく同じ日に調整して夜行バスで往復したり, 安いゲストハウスに泊まり込んだりした. しかしこのような策も焼け石に水となった.

結局50社くらい応募して, 書類選考に通った40社以上は受けたが, 面接を通過することはなかった. 後半になると有名な企業も減り, ほとんど飛び込み営業のような形で, 初めて聞くようなベンチャースタートアップなどにも応募した.

実際にどういう面接をしたかというと, もっぱら「学生時代にがんばったことは」「サークル活動何かしてた?」など, よくある新卒者向けの質問が9割超だった. 面接担当者の方から技術や知識について問われることはほとんどなく, たまに「この会社で何ができるか」と問われた時に, ここぞとばかりに時系列モデルや自然実験のフレームワークを説明して, これが会社の事業にも使えるとアピールしたが, まるで食いつきが良くなかった. やはりCS専攻の「機械学習プロパー」でなければダメなのだろうか*4?

落選しては新しい応募先を探すたび, リサーチの精度も低下し, 実際に面接や会社説明会の話を聞くと思ったものと違う, ということが増えてきた. 結局4月が過ぎ, 5月になっても1社も内定をもらえなかった. その頃は親からは「あんたくらいの学歴ならすぐ内定もらえるんじゃないの?」とか, 周囲の人間からは「そんなに受けて全くダメとか, 真面目にやってるんですか?」などと心ない言葉をかけられ, 精神状態が非常に悪化していた.

そして内定も残弾*5もないままゴールデンウィークに突入した. 連休中は企業も活動を止めるし, 院生たちも研究活動が忙しいとは言っても連休は休むひとも多いため, 学祭の喧騒を遠くに聞きながら閑散とした薄暗い研究室で次の応募先を探していた. この時期は就職活動中で一番「危険な」精神状態だったと思う.

ウィッチャーII 屈辱の刻 (ハヤカワ文庫FT)

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今回の転職活動

2017年秋ごろから転職活動を行っていたが, 新卒時のトラウマのため, 今回も苦戦するに違いないと, 2桁ほど一気に応募した. 応募した企業は新卒時に応募した企業とは1社たりとも重複していなかった. 新卒時はそういう仕事をしているとアピールしていなかったためスルーした企業*6も, 今は「データサイエンティスト」「データアナリスト」「データ分析担当」などを募集している. 意外とデータサイエンスは産業界に広がりを見せているようだ.

現職の業務の関係で都内で面接の時間を調整するのが難しかったため, 1日だけ有給を取って何社も面接を詰め込んだときもあった. 面接で話す内容は, 3年強の経験を経て多少の変化はあったが, 根幹的なモチベーションやアピールポイントは新卒時とほとんど変わっていなかったと思う. しかしながら, 新卒時とは打って変わり, 最終的に応募先の半分以上は最終面接まで到達して (そのためかえってスケジュールを圧迫することになった), 内定も複数いただいた(内定を辞退申し上げた企業の方々, ご覧になっていたらこの場を借りてお詫び申し上げます.).

その中には, 私のこのブログを読み, 高く評価してくださった企業も多く含まれていた. このブログと言えば, 小難しい話を一方的に投稿するため読者は限られるし, あとはよくて年に数百円相当のアマゾンクーポンの収入がある程度のものだったので, このように評価していただいたのは非常に喜ばしく思う.

総括

この記事

を見る限り, どうやら2012~2013年当時は, まだまだ各社手探り状態で, 新卒者を育てる余地などなかったのだと察せる. 新卒時の異常な苦戦の原因のある程度はこれに由来するのかも知れない. 私は機械学習人工知能を専門に研究していたわけではないし、2014卒採用者の大半は時代を先取りして人工知能機械学習を研究していた理系が多かったのかも知れない.

2017年はこれとは打って変わって, 滅多なことで面接で落とされることはなかった. 一方で, 今回評価されたのは新しい仕事へのモチベーションやブログなどでアピールしている知識の量が多くで, 前職の職務経験の価値を期待されたり評価されたりするケースはあまりなかった. もしかすると結構ギリギリのやりとりだったのかもしれない. 転職活動に成功することが最適化すべき目的関数ではないが, まだまだ精進が足りないことを忘れないでおく.

転退職のこともあって, このところ忙しくこれが今月唯一・今年最後のブログ更新になりそうである.

*1:この場合は同じ指導教授に師事しているという意味ではなく, 専門とはあまり関係なく割り振られる個人デスクのある部屋のことである. 経済学研究の場合は指導はあるものの個人プレーが多い.

*2:ただし邦訳版だったので, 2013年2月版だと思う

*3:後から得た情報では, 応募企業の中では 実はそんな大したことはしていないところも多かった. 今から反省するならもっと OB などに話を聞いて回っていれば結果が変わったものとなっていたかも知れないが, こういう業界にいる OB というのもあまりいないため, 内部情報のリサーチは現在よりも難しかった.

*4:振り返ってみると, もちろんだが, 当時は今ほど知識が豊富ではない, ということもあったとは思う.

*5:一応補足しておくと, 残弾とは選考途中の企業の数のことをいう.

*6:あるいは自分のリサーチ不足でスルーした企業もある